◇要求グループ

１．バランス、力技、柔軟

このグループで多いのは、脚上挙、開脚座からの伸肘倒立といったB難度の技で
す。D難度の技が少ないのもあり、ここのグループで難度を取ろうとする選手は
少ないです。また、バランス技も、B難度になると足を手で支持せずに180度以
上の開脚でやらないといけないので、構成にバランスを入れてくる選手はかな
り減りました。

２．リープ、ジャンプ、ターン、旋回

「体操系」要素の中に、旋回も含まれているこのグループは、選手の好みが結
構出ているように思えます。このグループの技が得意でない選手は、「下向き
転向（ロシアン）の360度」、「後ろとび屈・伸身正面支持臥（屈身姿勢を見せ
てから伸身に開く必要あり）」といったB難度で満たしてきます。女子のような
ジャンプ、ターン系でも満たせますが、やはりダイナミックに見せることがで
きる技が好まれ、ジャンプ系の中でも、「前とび1回ひねり正面支持臥」など、
ジャンプから正面支持臥になるものを見ることがあります。また、このグルー
プでは、旋回系でD難度以上が取れるので、「ゴゴラーゼ（開脚旋回倒立、下ろ
して開脚旋回)」、「フェドルチェンコ（下向き1080°転向)」、「開脚旋回1回
ひねり倒立」といった技を持ってきている選手は、総合的な強さを感じます。

３．前方系の跳躍技

かかえ込み、屈身、伸身の前方宙返りがB難度でで早くもこの要求を満たすことが
できます。しかし、B難度で留まっている選手は少ないです。まず最低ひねりが
加わります。姿勢に関わらず、同じ技番号になり、1回ひねりでC難度、1回半ひ
ねりでもC難度、そして二回ひねりでD難度、二回半ひねりでE難度、そして三回
ひねりでSEとなります。また、観点軸を縦から横にして、かかえ込み二回宙返り
でD難度、屈身二回宙返りでE難度となります（それぞれ半ひねりが加わっても
難度は変わらず）。

４．後方系の跳躍技

前方系と同様、かかえ込み、屈身、伸身の前方宙返りがB難度となります。前方系
以上に、加点を狙いやすいグループです。シリーズでは、テンポ宙返り（B難度）
が非常に重要な技となってます。一回半ひねり、二回ひねり（共にC難度）、二
回半ひねり、三回ひねり（共にD難度）といったひねり系、かかえ込み二回宙返り、
屈身二回宙返り（共にC難度）、伸身二回宙返り（D難度）、かかえ込み月面宙返
り、屈身月面宙返り（共にD難度）、伸身月面宙返り（E難度）、かかえ込み新月
面宙返り（E難度）、伸身新月面宙返り（SE）、三回宙返り（SE)・・・かなり
挙げてしまいましたが、これらの技は難度を必ず覚えておいた方がいいでしょ
う！！

５．側方、後ろとびひねり系の跳躍技

今のルールの特徴的な構成を象徴するのがこのグループ。単純に側方宙返り、
ねこ宙返り（後ろとびひねり前方宙返り・・・どの姿勢でも）でB難度を取って
くる選手が多いですが、トーマス（後ろとび一回半ひねり前方宙返り転）を実
施する選手もいます。かかえ込みでD難度、伸身でE難度が取れます。側方宙返り
をシリーズに組み合わせる例は殆どありませんが、ねこ宙返りならば、例えば、
後ろとびひねり前方二回宙返り（D難度）から前方宙返りなどを見せてくれる選
手はいます。

◇加点例

以上の要求を満たしつつ、今度は1.2の加点部分を目指して構成を組む訳ですが、
単独技で加点の大半を占める選手は少ないです。というのも、他の種目に比べ
て、単独でE難度というのが非常に難しいからです。それで、男子ゆかでは、S
Eに対して、通常0.3の難度加点であるところを、0.4にアップしてます。それだ
けその実施に対する価値を認めているということです。では、他の加点はやは
りシリーズ加点ですが、男子ゆかの場合、二つの宙返りの組み合わせは、その
組み合わせた技二つを一つの扱いにして、難度を高くするルールがあります。
B+B=C、B+C=D、B+D=Eなど、単独では難しいDやEといった難度も、組み合わせて
取ってくることが可能です。そして、三つの宙返りのシリーズは、二つ目まで
は先ほどの組み合わせの難度のルールで扱われ、三つ目の宙返りは、C難度以上
の技に限り、一つ上の難度となります。B難度以下の技では、やっても意味がな
くなってしまいます。

さて、加点例は、シリーズ系の例をあげておきます。

●ロンダード〜テンポ宙返り(B)＋後方二回半ひねり(D)＋前方かかえ込み一回ひ
ねり(C)
　 ⇒E（B+Dなので)＋D（C→Dなので）・・・E＋Dの加点で0.2、難度加点と合わ
せると0.5
●ロンダード〜後転とび〜後方二回半ひねり(D)+前方宙返り半ひねり(B)+後方
二回ひねり(C)
　 ⇒E(D+Bなので)＋D(C→Dなので)・・・E＋D
●前転とび＋前方一回半ひねり(C)＋テンポ宙返り(B)＋後方二回ひねり(C)
　 ⇒D(C+Bなので)＋D（C→Dなので）・・・D＋Dの加点で0.1、難度加点と合わ
せると0.3
●ロンダード〜後方一回半ひねり(C)+前方一回ひねり(C)+前方一回半ひねり(C)

　⇒E(C+Cなので）＋D(C→Dなので）・・・E＋D

とりあえず、こういった技が今の典型的なシリーズ技です。ちなみに、宙返り
系以外では、シリーズ加点は取れませんのでご注意を！