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何といってもこの班は中国だった。注目を集める中、アジア大会と同じくつり輪からのスタート。李小鵬、楊威、黄旭と、無難にまとめてきたが、点が思いのほか伸びず、黄旭の9.625が最高。四人目に託すが、四人目は刑傲偉で、恐らく初めて見たつり輪の演技であった。しかし、今まで国際大会やったことがないのが分かるくらい、中水平などの力技の実施に問題があり、8.550に留まった。五人目は・・・?と思ったら種目移動になってしまった。一瞬、オーロラビジョンも計算ミスで、四人のベストスリーでカウントしてしまい、修正に時間がかかったようだ。

跳馬は上の二人さすがであった。李小鵬はロンダードからのヨー2を、楊威はカサマツ二回ひねりを決め、共に9.750出したが、種目別予選の二本目、李小鵬はヨー2を決めたものの、楊威は屈身メリサニデスでおでこまでマットに着くミス。そして、最初の二人もミスがあった。肖欽はカサマツ一回ひねりで手を着いて8点台に。刑傲偉は、助走が合わず、強引に跳んでカサマツ一回半の予定が一回ひねりになってしまった。この種目も中国は四人のみ演技。ミスもカウントされることになるので、かなり点を落としてしまった。

しかし、得意の平行棒から中国は巻き返した。騰海濱が要素不足があったのか、価値点も下げ、8点台となったが、その他の四人が素晴らしく、李小鵬はアームモリスエやヒーリー+開脚前宙腕支持などの見せ場で十分アピールし、9.725を出した。この種目から中国は5人演技となった。

鉄棒も黄旭、李小鵬、騰海濱が素晴らしかった。特に李小鵬の伸身トカチェフ+開脚トカチェフ+閉脚トカチェフと騰海濱のアドラー一回ひねりは観客席からため息が出た。この種目、楊威がコバチの後で詰まってしまい、ダブルスイングが出て、降りの伸身新月面も大きく前に出て点が伸びなかった。

ゆかになると、再度ミスが複数出た。刑傲偉、楊威共に二本目のシリーズでミスが出てしまい、特に楊威はアジア大会と同じ技でミスをしており、まだ克服できない部分であることを実感した。よって、李小鵬が最後に伸身月面を決めてきても、9.487に留まってしまった。この種目で再度中国は四人のみの演技となった。

最後のあん馬は、今回のチームの中心があん馬にあると思えるくらいのメンバーなので、さすがであった。しかし、構成は非常に似通って、Eコンバイン(だと思う)、馬端でのロシアン(これも多分720度)、マジャール+シバド+Eフロップ辺りの組み合わせはほぼ同じ。やや物足りない感じがしたが、それも最後の肖欽の為と思えるところもあった。肖欽は観客からもウゴーニャンとロシアン720度辺りで大きな拍手が出て、最後の歓声もすごかった。ドラグレスクの跳馬と並んで、これまでで最高の9.812を出した。

四人しか演技をしないので、ミスをしたら点が落ちることはもちろん分かっていただろうが、予選ではその影響があるものの、決勝は三人の演技なので、今日のメンバーの出来でも、上の三人がミスなく行えば十分ではある。日本に結果的に予選で負けているが、中国にとっては計算されたもので、ある意味で「なめている」とも思われる戦法では合った。日本は、後はウクライナ、アメリカが気になるところとなった。

中国以外では、スイスが頑張っていた(正直に言えば、得点や観衆の反応で・・・というのも含む)。アップの段階では、各種目、以前よりも技も基本も出来ているような感じだった。エースのシュバイツァーは複数の種目で決勝に残ったかもしれない。

また、南アフリカも跳馬でローチェと屈伸ヨーを持ってきた選手がいた。ウィットボールドという黒人選手だったが、時代も変わり、こうした選手たちの力で底上げがあるのかもしれない。

<<第八班>>

ウクライナがどの程度日本と争うのかが注目されたこの班。しかし、ウクライナも予想外に調子が悪かった。つり輪から入ったウクライナだが、ゾズリアが9.675を出したが、エースのベレシュがかなり弱く、8.162に留まった。中水平のこなしを見ると、かなり苦手にしている印象があった。

第二ローテーション、、ウクライナはほとんどがローチェでその熟練度は今までの国の数倍あったような感じで、着地の安定度と位置の高さが光った。このローテで、マレーシアのエースでアジア大会でも取り上げたン・シュワイがほぼノーミスの素晴らしい出来で、9.537を出し、李小鵬の点数をも上回った。日本目の後方一回半ひねり+前方伸身宙返り+前方一回半ひねり、そしてそれに直接繋げた腹臥のジャンプが、女子のシュシュノワのような非常に大きなこなしで、観客も喜んでいた。

第三ローテーション、ベレシュが振り上げ倒立のひねりでいきなり落下。他も8点台が続き、ウクライナが日本と並ぶ気配はこの段階でほぼ消えたといっていい。また、このローテのゆかで、今度はブラジルのイポリトが後方一回半ひねり+伸身前宙+前方二回ひねりで入り、最後は抱え込み月面で、先ほどのン・シュワイを上回る9.550をマーク。前評判どおりの脚力の強さを見せた。

鉄棒でも、9点前後に三人がいるという状態のウクライナは、ゆかでもゾズリア以外が同じく9点前後に固まってしまった。その間、ン・シュワイがローチェをきれいに決めて9.512を出して会場を盛り上げた。

あん馬でも完全に失速したウクライナは、全く点数を伸ばせず、そして、また跳馬でイポリトの迫力あるカサマツ一回半ひねりとユルチェンコ二回ひねりで会場が盛り上がった。

ウクライナは五位となり、この後の展開次第では、かなり苦しい位置になってしまった。いずれにしても、ベレシュが不調で、チームを引っ張るのがゾズリア一人というのがとても辛いところであった。


余裕の中国。予選でトップになる必要がないといえばないのだが、少し疑いたくなるところである。

ベラルーシほどではないが、苦しんでいたウクライナ。ベレシュも元気がなかった。

ン・シュワイは、どうやら兄弟で出場。右端の選手が弟?のン・シュモイ