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カナダとフランス、そしてベラルーシと、日本女子にとって気になる国が固まった第一班。この中で果たしてどこの点数がポイントとなるのか?得点を常に頭にしながら見ていた。

ベラルーシに関しては、段違い平行棒と平均台であまりにもミスが多く、ジャルガノワの段違い平行棒だけが光った。振り上げ二回ひねりからギンガーの時には、観衆も大いに喜び、盛り上がった。前回の五輪で日本の一つ上はベラルーシだったが、今回はそれは考えないでもいいようだ(考えるレベルでは困るというくらいに)。

フランスとカナダは実にいい戦いをしていた。跳馬でスタートのカナダは、ユルチェンコ一回半ひねりで得点を稼ぎ、まずまずのスタートとなった。

次の登場のフランスも、跳馬ではシャコンが、カサマツ一回ひねりと、抱え込みクエルボ一回ひねりを見せて、種目別決勝進出の可能性がかなり高いと思われた。その間、カナダはプランテがデフや車輪一回半ひねり+車輪一回ひねりの連続からギンガーを見せて、9.200を出した。この2チームによる、9点前後の戦いが、日本にも必要なのだと実感してしまったところである。

カナダは平均台で落下が出てしまい、その間、フランスも段違い平行棒で落下などのミスがあり、点を上げることができなかった。

次のローテでは、フランスが平均台でデボブとシュミュトがそれぞれ9.125と9.075を出した。カナダは9点を越えることが出来ず、シンプソンの演技で、昔懐かしいネリ・キムと同じ曲で場内をリズムに乗らせて一体感を感じるところまで来たが、最後の最後、屈身ドッペルで手をつき、8.800に留まった。これでカナダは終了となった。

フランスの最後のゆかは、デボブに大きなミスが出てしまい(一回半から二回半ひねりに間接的につなげるシリーズで、二回半がすっぽぬけた感じ)、その分、ルペネが頑張った。屈身月面から始まり、体操系でも加点を取って、SVを10点にして、9.437をマーク。この高得点でフランスがカナダを逆転。しかし、差は僅かで、落下のミス一つ分ないほどである。

フランス・・・142.835、カナダ・・・142.397。この142点が、五輪出場に向けての一つの目標となった。

<<第二班>>

アメリカの体操人気を支える女子体操だけあって、このセッション(二つの班毎にセッションが分かれてます)の入場者数はすごかった。その証拠に、入場まで長蛇の列で時間がかなりかかってしまった。いよいよ、アメリカの観衆のものすごい声援を体験すると思うと若干怖い部分も感じつつ、試合を待つことになった。

男子以上の盛り上がりが確実なのがアメリカ女子。男子の優勝よりも、女子の方が現実的といわれてきた。それだけ人気、実力ともに期待されたのだが、キューバからアメリカに移ったハッチと、昨年の平均台の世界チャンピオンのポステルが病気の為欠場。代わってメメルとハンフリーが入った。オランダも同様に、以前より伝えられていたファン・デ・ルールとエンデルが結局欠場。アメリカと違って層が厚くないオランダがどういう戦いになるか、注目された。また、ドイツが前回のゲントで団体の決勝に残ったので、ドイツの点数も日本やイタリアなど、今後出てくる予定の国々に参考になるので関係者からの注目を集めていた。

オランダは、やはりファン・デ・ルールの欠場が痛く、また、ワムスが跳馬以外でミスが多く、精細を完全に欠いていたので、頼れるのが国内チャンピオンのハルムスのみとなり、他の選手も代わりに出場した選手二人がまだまだのレベルで、二年前のような活躍を見せることはなかった。終わってみると、カナダ、フランスに負けてしまい、団体出場ラインと思われる142点を下回った。

ドイツは、平均台で落ちそうなところを粘るシーンが多かった。本当の落下はなかったのだが、シリーズ影響し、価値点が下がり、9点近くまでの点がなかなか出なかった。シュシュノワ一回ひねりで大きさが出て場内からため息が出たビヤクでようやく9.012をマークした。ビヤクは続くゆかでも前宙ダブルから即抱え込み前宙に繋げたり、前宙二回ひねり+前宙一回ひねりを見せて、前宙系の強さをふんだんにアピール。9.087をマークした。更に跳馬ではエフドキモワで9.112、最後の段違い平行棒ではロンダードから一回ひねって低棒懸垂になる技を入れ、閉脚デルチェフも決めて8.900をマークした。この段違い平行棒、ドイツはかつての東ドイツ時代を髣髴とさせる強さを見せて、他にもグンネがシャポシュニコワから低棒飛び越し倒立で雄大な捌きを見せて9.212、ムシックもシャポシュニコワ+パク宙返りなどのシリーズがよくて9.050をマーク。実は、142点ラインには一人9点平均が必要だったのだが、これで、ドイツは何とか最後の最後で142点ラインを超え(142.158)、フランスとカナダには及ばなかったものの、何とかこれから演技するイタリア、日本などの国々の結果をある程度安心して見られる状態となった。

さて、いよいよアメリカの方に話を移すと、ハッチとポステルの欠場はやはり痛かった。それでも、メメルが最初の跳馬のトップでユルチェンコ一回半ひねりで9.225をマーク。これでチームのムードを作り、その後のシュワイカートとパターソンの素晴らしい着地(ユルチェンコ一回半ひねり)に繋げた。キューペッツは屈身のポドコパエワで9.300とした。

メメルは段違い平行棒でもトップながら、大逆手車輪を含めた構成で、降りもまとめて9.575をマーク。これでかなりチームに勢いがついた形となり、パターソンとヴァイスは倒立系もきれいにはめてきて、それぞれ9.487と9.500とした。シュワイカートは、大きなヒンドルフで大いに盛り上げたが、その後のパクに繋げる際に、その大きさが災いしたのか、タイミングが狂い、低棒に手が届かず落下となった。

シュワイカートは、平均台でトップの演技だったが、ここでも伸びずに8.875としてしまった。メメルがI字バランスの変形を見せ、9.412、キューペッツが9.237としたが、期待の若手二人の演技で大きなミスが出た。ヴァイスは後方抱え込み宙返り一回ひねりで落下。パターソンは降りのアラビアンダブルでしりもちとなった。段違い平行棒と違って、平均台は世界チャンピオンのポステルの欠場もあり、やや元気がなかった。

さて、最後のゆかは、メメルがまたも見せてくれた。テンポ連続+後転跳び+アラビアンダブルというほかではあまり見ないような組み合わせを見せ、またターンでも新体操を髣髴とさせる足を頭の位置でキープしながら回るものを見せて、そして、最後の技でポパから前後開脚座になるものも入れ、大変に盛り上げてくれた。9.250ではあったが、かなり価値のあるゆかであった。シュワイカートは、月面宙返り+前方宙返りの連続で回らず足から着地がほとんどできてない状態で転を落とし、8.512とした。パターソンは全て決めたが、得意のアラビアンダブルと最後の屈身ダブルで着地がやや低い位置で9.262に留まった。最後のキューペッツもアラビアンダブルでラインオーバーをしてしまった。

しかしながら、これまでの組では、アメリカに適う国はなく、まずは順当に初日トップに立った。実際にはミスを抑えて、演技を終えたかったかもしれないが、欠場者二人の状態では、よくここまで戦ったと思える。明日、アメリカに対してロシア、ルーマニアがどの程度点を出すか楽しみである。


正に孤軍奮闘のジャルガノワ

ミスが多く、思ったほどの活躍ではなかったフランス

得意の段違い平行棒でも苦しんでいたオランダ

パターソンに声援を送るアメリカチームのメンバー

前回の五輪で団体出場を逃したばかりか、個人出場権も国内五輪委員会により放棄させられたドイツ。とりあえず目標達成なのか嬉しい表情であった。

明日はこの順位がどうなるか?!