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この班は、北朝鮮と同様に、日本女子の五輪出場権を占う上で注目されたイギリスと、初優勝を狙う中国が出場する。あの北朝鮮の演技の後、イギリス女子がどう戦うか、日本側の立場では興味の持たれるところとなった。

イギリスも同じく段違い平行棒からのスタート。イギリスは、エースのトゥエドルがこの種目を得意としており、イギリスにとってはここで一気に点を上げたいところであっただろう。ラインが9.3のSVであるのにも関わらず8.712をマーク。順調なスタートを切った。そこからフェンネル、メイソンの8.962が続き、そしてトゥエドル。ワールドカップでもメダルを取った得意種目で、彼女は車輪一回半ひねりから片手軸の大逆手車輪一回ひねり逆手を含めた圧倒的なシリーズを見せて、9.525をマークした。36.161の団体得点は、北朝鮮の点には及ばなかったが、その後の演技次第では十分に期待できる点数となった。

第二ローテーションから中国が登場。跳馬でワンがユルチェンコ二回ひねりで9.362をマークするなど、まずまずのスタートを切った。中国はこの種目は得意種目ではないので、まずはノーミスで乗り切れたことでその次の得意種目にうまくつなげていけたといっていいだろう。イギリスは、ラインが入り技でミスを出し、やはり平均台は苦手なのかと思われたが、その後、9点近い点数を連発し、安定した演技を見せた。この平均台を無事乗り越えたのは非常に大きかった。

第三ローテーション、イギリスはトータル35.199と、そこまで点数を伸ばすことはできなかった。しかし、これまでの三種目、35点を切らない状態で、この段階で106.909をマーク。142点には35.1でOKということで、イギリスはこれで決勝進出も狙える位置につけた。しかも最後は跳馬で、36点も狙える種目である。果たしてどうなるか?一方、中国はリ・リがギンガーで落下。そして、何と張楠までイエーガーで落下。思いのほか点を伸ばすことができなかった。

第四ローテーション、イギリスが最後の跳馬の前に休憩に入り、中国の平均台を迎えた。中国は相変わらずジャンプ系、ジャンプと宙返りの組み合わせをふんだんに入れて加点を取ってきた。他の国は、体操系とアクロバット系のシリーズでは、交差ジャンプを基本に加点を対象のシリーズを入れてくることが多いが、中国はこれに輪とび、羊とびも加わるので、演技中に三つほどこういった組み合わせが見られる。しかもこれに抱え込み前宙や後方抱え込み宙返り、そして中には後方屈身宙返りやコルブト一回ひねりが入ることもあり、文句なしの構成であった。そして、最高点はファンの9.712で、これまでの全種目中最高点となった

最後のローテーション、いよいよイギリスの跳馬となった。ラインはルコーニで8.987をマークし、まずまずのスタート。ホブがユルチェンコ一回ひねりに落としてしまうが、メイソンが前転跳び屈身半ひねりで9.075に上げて、フェネルがユルチェンコ一回半ひねりで9.225としてイギリスはついにフランスの点を上回る143.046をマーク。この時点でフランスを上回り、七位となった。そして、二大会連続の五輪出場権をほぼ手中にした。中国のゆかは、康が月面でしりもちを着いたが、アジア大会優勝の張楠は二本目を二回半ひねりから伸身前宙にして価値点を上げ、二回ターンから抱え込みジャンプ二回ひねりで軸ぶれが起こったところの減点以外は素晴らしい出来で、場内からも大きな拍手が起こった。そして、この結果、中国はルーマニアを上回り、一位で決勝を迎えることとなった。

日本女子はこの段階で12位となり、最終班にいるウクライナとオーストラリアのことを考えると、残念ながら、五輪への望みは完全に絶たれてしまった。そして、ドイツまでも同じく五輪出場が難しくなった。

<<第八班>>

いよいよ最後を迎えた団体予選。この班は団体決勝をかけての争いとなった。

第一ローテーションはウクライナ、オーストラリアとも休憩で、第二ローテーションからの登場となった。ウクライナは跳馬で順調な滑り出しで、コジチがユルチェンコ一回半ひねりで9.262、クバシャもユルチェンコ一回半ひねりと、そして種目別予選用の前転跳び屈身前方一回ひねりを見せ、トータル37.011をマーク。高いレベルのスタートとなった。オーストラリアは更に好調な雰囲気で、最初のダンから9.225を出した。その後も高得点が続き、最後のルッソは前方開脚伸身宙返りから前転跳び+片手後転跳びといった他の選手があまりやらない組み合わせを見せて、なんと9.400をマークした。

第三ローテーション、オーストラリアはゆかでミスが出る。最初のケリーが、シリーズで最後の宙返りが抜けてしまうミスがでて、8.437、ルッソも8.475としてしまい、心配されたが、エースのスレーターが得意のこの種目で、3回ターンが二回ターンになったものの、9.287を出し、平均台の貯金を保った。ウクライナは段違い平行棒で素晴らしく、ヤロツカが大逆手エンドーを入れた高難度の組み合わせを見せて、9.525をマーク。コジチも同じく大逆手エンドーを含めたシリーズを見せたが、最後の月面で離すのが早く、前に飛んでしまって手を着き、点を伸ばせなかった。

一旦休憩が入って、第五ローテーション、オーストラリアは跳馬でアーチャーが9.200を出したが、他がそこまで伸びず、点を稼ぐといったレベルにはならなかった。この種目、シドニー五輪でオーストラリアが決勝進出を逃した原因となった因縁があり、今回もその弱さの側面を感じた。ウクライナもに苦しい状況で、プロスクリナ、クバシャと落下が続いた。しかし、コジチが9.337、ヤロツカが9.350を出して何とか盛り返した。最終種目を残して、普通に演技をすれば両国共に確実に決勝進出が果たせる状況になった。

最後の種目、オーストラリアはダンがトップバッターという意外なオーダーであった。ダンは今まで苦しんでいたコマネチ宙返り、片手軸の大逆手車輪一回ひねりの組み合わせが成功したにもかかわらず、パク宙返りで高く上がりすぎてバーから離れすぎてしまい、バーは持ったものの足がマットに触れ、8.775に留まった。その後のアーチャーは低棒の倒立移行で戻ってしまい、そして、それをごまかす為に構成を変えたが、結局低棒倒立で止まったり戻ったりを繰り返し、結局落下。7.800に留まった。ムーアハウス、ルッソで9.112と9.187で挽回し、最後のスレーターもダブルスイングをするミスが出たものの8.937で留まり、何とか144点を上回り、7位で決勝進出を果たした。ウクライナはクバシャが伸身前宙から前方ダブル、屈身月面、そして最後に抱え込み月面と非常にパワフルな構成でSV10点の9.462を出した。最後のコジチも前方ダブル、ほぼ完璧の水平二回ターン+ポパジャンプ、前方二回ひねりから前方抱え込み一回ひねり、カテッテジャンプ一回ひねり、そして最後も二回半ひねりで決めてきて、これでウクライナはロシアを上回り四位で決勝進出を果たした。

決勝進出国、五輪出場国は下記の通り。

決勝進出:中国、ルーマニア、アメリカ、ウクライナ、ロシア、スペイン、オーストラリア、ブラジル

五輪出場国:上記八カ国にイギリス、フランス、カナダ、北朝鮮


まだまだ弱い部分を感じたウクライナ

決勝常連国となったオーストラリア

決勝進出はならなかったが、好成績に喜ぶイギリス

新人導入が功を奏し、予選トップに立った中国

本当に残念な結果。課題を感じたところもあったが、選手たちの今日の出来は見事だった。一番大事なのはそういうところであると信じたい。