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アメリカ、ルーマニア、ウクライナと、ほぼ決勝で見る顔触れとなった第2班。さすがに会場にはアメリカからの観客も増え、大いに盛り上がった。 第一ローテ 跳馬からのスタートのルーマニアは好調なスタートを切った。直前に代表入りしたストロエスクはルコーニ、バンはロコーニのかかえ込み1回ひねりで雄大さを欠く演技であったが、三人目のポノールと四人目のソフロニエががユルチェンコ2回ひねり、そしてロスは北朝鮮のカン・ユンミに続いてユルチェンコ2回半ひねりを決めた。しかし、若干のひねり不足と着地の動きで審判が長時間協議した。しかし、ロスはその後落ち着いてツカハラ二回ひねりを決めた。アメリカはバハトワージがトップから素晴らしい出来で、下りも伸身月面とアメリカのレベルの高さを感じさせた。2002年の段違い平行棒の世界チャンピオンのクーペッツは大逆手エンドー1回ひねりから雄大なボルピなどを決め、パターソンも切り返しのはっきりした振り跳び高棒移行など、基本の美しさを見せて、下りの月面もピタリと決めた。ウクライナはラストのクバシャが月面を屈身とかかえ込みの二本持ってきて、その上一本目は伸身前宙からの前方かかえ込みダブルというかなりの力を見せつけた。 第二ローテ ルーマニアの段違い平行棒がある意味で今大会の優勝の行方を左右するものとなった。ストロエスクからであったが、さほどいい実施とは思えなかったものの、9.412をマークし、ミスさえ出なければ優勝争いをリードする点になる可能性が出た。それに続いてロスも大逆手車輪での膝の曲がりを出しつつまだ得点をキープし、勢いに乗ってきた。最後のソフロニエはシュタルダー1回半〜イエーガー、車輪1回ひねり〜車輪1回半ひねり〜エジョワといったこう難度の技をきれいに行い、高得点を出した。アメリカの平気台は、パターソンがアラビアン宙返りでかなり足割れのある実施であったり、昨年よりも演技が重たくなった印象であったが、下りのアラビアンダブルをピタリと決めた。また、ハンフリーは入りで低い位置での片足二回ターンを決め、その後の演技も非常に締まった美しいものであった。また、カナダのリチャードソン選手は、NCAAで競技中ということもあり、振り付けがかなりこっていて、ショーで見るようなパフォーマンスであった。タンブリングも非常によく、伸身ダブルは力強い実施であった。ウクライナの跳馬では、クバシャが前転跳び前方伸身1回ひねり、ユルチェンコ1回半ひねりを非常にきれいに決め、シェルバティフもユルチェンコ二回ひねりを決めた。 第三ローテ 第二ローテの終了時にアメリカがリードしていたが、ルーマニアが後半の得意種目でどこまで点を伸ばせるか、決勝での両国の争いを占う意味でも大事なローテとなった。ルーマニアは一人目のストロエスクから抜群のシリーズ系での安定性を見せ、減点を見せなかった。オノディや前方伸身開脚宙返りから切り替えして後方系のシリーズに繋げる技術は群を抜いていた。ヨーロッパ選手権でこの種目で優勝しているポノールは最後をかかえ込み月面にしてきて、安定性と難度の高さに更に磨きをかけた。アメリカのゆかはマックールやハンフリーなど、非常に美しい演技が見られ、ロシアよりもロシアらしい選手が増えてきた印象を残した。バハドワージは得意の伸身ダブル〜前方宙返りを見せ、パターソンはゆかでも安定した着地を続けて、順当に得点を重ねていった。しかし、この時点でルーマニアがアメリカを逆転。得意種目でルーマニアに逆転されたアメリカはかなり辛い状況となった。ウクライナは段違い平行棒でミスを連発。頼みのヤロツカまでも落下し、ロシア同様、潜在能力の高さがあるにも関わらず団体線での弱さをまたも見せてしまった。 第四ローテ 最後のローテはルーマニアのゆかで大いに盛り上がった。アメリカからの応援団までも大喜びする演技を続けた。特にバンは『コンガ』を更にアレンジしたテンポの速い曲で彼女らしい動きを見せ、タンブリングも安定して決めた。そして、ポノールも昨年とは曲を変えて、更に振り付けを印象付けるものにした。タンブリングでも三回ひねりの高さとひねりの技術は巣晴らしかった。アメリカの跳馬は、この種目のみに出場のハッチがどの程度決めてくるか注目されたが、ユルチェンコ二回ひねりとツカハラ二回ひねりは両方とも着地が乱れ、点数が伸びなかった。しかし、パターソン、バハドワージのユルチェンコ二回ひねりとクーペッツのポドコパエワは安定していた。ウクライナは平均台でも不安定な演技となり、クバシャ、アフヌが落下。器具系での立て直しが決勝に向けて急務となった。ウクライナは全体的に水平ターンを各選手入れており、そして非常に正確に行われていた。 第四ローテを終えて、ルーマニアがアメリカとのリードを広げて1位、アメリカが2位となり、ミスの出たウクライナはロシアに及ばなかった。