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 今年は3日間でこれを一気にこなそうという強行スケジュール。両方にエントリーしている有名選手には酷な日程だっただろう。
28日の午前はワールドスターズの予選(今年は個人総合がなく、種目別のみ)。ウクライナからアガフォノワ、ゴロドニー、ベラルーシのジャルガノワ、ウズベキスタンのチュソビチナが出場。ロシアはおなじみホルキナ、ザモロドチコワ、ロバズニュク、リュドミラ・エジョワ(99年天津のリザーブ)にジュニアのアンナ・パブロワ(14)、リディア・シードロワ(13)といった豪華メンバー。

 パブロワは段違いで滞空時間の長いパク宙返り、降り技にスワンダブル。平均台(9.00)はまだぎこちなさが残るが降りは堂々の2回半ひねりである。しかし華のある選手で、床の月面→前方2回ひねり→2回半ひねり即前宙→3回ひねりの演技に9.15。

 ホルキナは3月中旬にやっと練習を再開し、調整途中なのか、得意の段違い(リチナ→パク宙返りの連続は素晴らしい)で落下(それでも9.10)、床では(曲はシドニーと同じ)初めの3回ひねりでつぶれ、決勝進出はならなかった。

 ザモロドチコワは自信たっぷりな演技。特に新月面→一回半ひねりから3回ひねり→屈伸ダブル→月面の床(9.35)の構成は抜きん出ていた。シドニーと曲は同じだが、最後の決めポーズはスタンディングだった。

 ロバズニュクは跳馬と平均台のみの出場。ツカハラ跳びの跳馬(9.15)の着地が前のめりで気になった。平均台(9.15)の後転跳び即アラビア転回、ぴったり脚を閉じた降りの後方ダブルは本当にみごとだったのだが。

 エジョワは昨年から一番伸びた選手ではなかろうか。動きに個性が出るようになってきた。段違い(9.40)と平均台(やはり降り技に2回半ひねり。9.60)に光るものを持っている。

 午後はロシア選手権の個人総合。前日の上位18名で争われた。第一班の最初の種目、跳馬でロバズニュクは着地の際、右ヒザを強打。そのまま搬送されてしまった。ザモロドチコワの段違い落下に乗じて首位になったのは前日の予選をトップ通過したナタリア・ジガンシナであった。彼女はシュシュノワのコーチ・ガブリチェンコフの教え子である。シュシュノワとタイプは異なり、長い手足の楚々としたタイプ。段違いのスワンダブルの降りが特に美しい。床(月面→テンポから3回ひねり→2回半ひねり即前宙で足が一歩→屈伸ダブル)の振り付けがこなれてくるともっとよくなるだろう。しかし、あの構成のザモロドチコワが最終種目で9.70を挙げ逆転優勝。終わってみればザモロドチコワの圧勝なのであった。3位はイリーナ・クリュチコワ。エジョワは6位に終わった。

 29日は最終日。午前にワールドスターズの決勝。ザモロドチコワが落下した平均台で、代わって優勝したのはエジョワであった。ほかはザモロドチコワの独壇場。跳馬(ツカハラ伸身2回ひねり、ユルチェンコ2回ひねり)、段違い、床で彼女はガッツポーズ。客席同様、国際大会というには少々メンバーは寂しかったが、ロシアのエース交代を印象付ける大会になった。

 午後のロシアカップ(こちらは種目別選手権)、ザモロドチコワは跳馬(9.575で優勝)以外を棄権。お疲れ様。段違いにジガンシナ(8.95)、平均台はエジョワ(9.50)、床はトゥーラ出身のマリア・ザシプキナ(個人総合は5位。最初のシリーズにプロドノワばりの前方2回宙返り即前宙!9.15)がそれぞれ優勝した。

 動きだけなら、マリア・チビスコワという選手が目を引く。こういう選手に出てきてもらいたいものだ。また個人総合4位に終わったが、ジュニア時代から注目されていた、エカテリナ・プリバノワの堂々とした動きは成長を感じさせた。

 ロバズニュクやケガで欠場したコレスニコワのことは非常に気にかかるところだ。しかし、今回活躍した選手の何人かの名前を、秋には耳にすることになるだろう。

 また、ジャッジとしてシュシュノワ、シェフチェンコ、ベラ・コレスニコワ、タチアナ・フロロワが名を連ねていた。とにもかくにも、彼女たちの中に貫かれていた「ロシアの体操」は今もしっかり後輩たちに受け継がれている

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↑線のよさがよりよくなったロバズニュク。

↑優勝後、インタビューに答えるザモ。

↑25歳のチュソビチナ。この選手の限界はどこだろう??新技にも挑戦!

↑かつてのダイアナ妃かと思ってしまったホルキナ。

↑プロドノワは穏やかな表情?(^^)

↑跳馬の怪我で担架の上にいるロバズニュク。

←左から85年世界選手権代表ベラ・コレスニコワ、83年世界選手権二位&84年代替五輪40点満点で優勝のオルガ・モステパノワ、83年世界選手権5位のタチアナ・フロロワ、85年世界選手権&88年ソウル五輪個人チャンピオンのエレナ・シュシュノワ、一人置いて、88年ソウル五輪代表のエレナ・シェフチェンコ